吸血鬼と紅き石
時刻はもう、夕暮れ。

父の墓は家の裏手の、少し小高くなった丘に作られていた。

「墓と言っても大したモンじゃなくて悪いがな」

青年の言葉通り、盛られた土と太い木と蔦で作られた十字が目印の簡易なものだったが、これで十分だった。

「ありがとう」

青年の謙遜の言葉に小さく首を振ってリイエンは告げる。

フン、と鼻を鳴らし照れ臭げに首裏を掻くレンバルトが、何だか微笑ましい。

父の墓に改めて向かい合って。

その前にしゃがみ込んで、静かに手を合わせる。

(お父さん…有難う)

込み上げてくる思いは様々だが、一番伝えたいのは感謝の言葉。

守ってくれて。

育ててくれて。

有難う、と伝えたかった。

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