吸血鬼と紅き石
紅き石の話を聞いたあれから何度も、自分は狙われているのだから気を付けろとレンバルトに言われて来た。

だが今まで彼以外の吸血鬼なんて姿もその気配も感じた事もなく、自覚も何もなかったけれど。

とうとう、来たのかもしれない。

ゴクリ、と喉が鳴る。

ペタペタと何かが歩くような這うような音。

逃げなくてはと思うのに、足は地に貼り付いたように動かない。

(どうし、よう…どうしたら)

頭を掠めるのは灰色の青年。

震える唇でその名を呼ぼうと口を開き掛けたその時。


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