王子様の、花嫁探し。
なんで、
陸戸がここに?
だって、道、
全然違うし。
久々に乗った後ろ座席。
陸戸の服を、
後ろからギュって掴む。
懐かしいぬくもり。
懐かしい陸戸の匂い。
あたしっ、
さっきからニヤニヤしてばかり。
「ねぇ陸戸」
「あ?」
「どうして、ここへ?」
「別に」
陸戸の声。
久々に
こんなに間近で聞いたよ...。
どうしてこんな
些細な事なのに、
こんなにも嬉しいんだろう...。
陸戸....。
....好きっ....。
そう言いたい。
たったの二文字。
どうしてこんなにも、
伝えづらいんだろう....。