夢みる蝶は遊飛する

須賀くんだけは波乱万丈だったクリスマスディナーは終わり、沙世は先ほどと顔つきを変えてケーキの箱を取り出した。

ケーキナイフを借りて、きっちり四等分にするために目測している。

例のチョコレートのプレートはとりあえず外し、沙世が綺麗に飾られたケーキにナイフを入れた。

ホールのケーキを90度で四等分すると、苺の数がすべて同じになるように沙世は計算しながら上面をデコレートしたらしい。

見た目はまったく同じ、四切れのケーキが、白いケーキ皿に乗せられた。



「チョコ欲しい人ー」

「はい! はいはいはいっ」


須賀くんが背伸びをしながら手を挙げる。


「あたしも欲しいから半分ね」


そう言って沙世は、手元でうまく隠しながら、つづりの間違ったメッセージの書かれたチョコレートを二つに割った。

“Merry Cristmas!!”というメッセージの、ちょうどCとrの中間で。


これで、つづりのhが足りないことはもうわからなくなった。

沙世はやっと安心して、表情を緩めた。


これは、私と沙世の二人だけの秘密。

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