夢みる蝶は遊飛する

イギリスの絶対王政は、今回の春休みの課題の範囲に含まれている。

だからエリザベス女王の名も、彼が今手にしているプリントの中には頻繁に出てくる。

けれど、女王について自分の意見を述べると言った記述式問題はなかったはずだ。


「国の発展のために力を尽くした、素晴らしい女王だと思うけど・・・・」

「あんた、それ訊いてどうするわけ? 質問するならもっとましなこと訊きなさいよ」


戸惑う私の答えと、沙世の須賀くんを咎めるような声が重なった。

けれどそのどちらも聞こえていないように、彼は話を進める。


「国民からも好かれてたし、力があるからこそ暗殺計画もあったけど、“グロリアーナ”の称号に相応しい人だよね」

「う、うん・・・・」


彼の言いたいことがわからない。

けれど、須賀くんはそれ以上エリザベスについての話はせず、先ほどまでの不自然な会話はそこで終わった。


私の中に、釈然としない思いを残して。


須賀くんのほっとしたような顔を見て、心の中だけで首を傾げた。

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