先生とあたし(仮)
「村岡さんも苦労してんな…」
百合には毎回テストのたびに迷惑をかけまくっている。
まあヤマを教えてもらってそこを丸暗記してる訳だけど、英語のこととなると話は別だ。
なかなか頭に入ってくれないあたしの面倒を根気よく見てくれている。
景斗の言う通り、一番被害を被ってるのって百合なのかも。
「百合のことを助けると思って、景斗くんお願いっっ!!」
両手を顔の前で合わせて目をギュッとつぶる。
英語だったら、あたしよりも景斗の方ができるのはあたしのテストの点数を聞けば誰でもわかる。
それに景斗は頭は悪い方じゃない。
むしろ良い方だと思う。
「わかったよ」
景斗の半分諦めかけたような声と共に、あたしは目を開ける。
「…ありがとうございます!!」
「その代わり、俺とちゅーし「しないから」
あたしの顔に近づく景斗の顔を向こうに押しやった。
「ちょっと位…」
頬を擦りながら口を尖らせる景斗にあたしは鋭い眼差しを送る。
少し気を抜くとすぐこれなんだから。
こんなことがあったけど、そういうことになるたびに脅しをかけることであたしは勉強を進めることに成功した。