旦那様は社長 *②巻*
あたしの話をただ黙って聞いてくれて……
特に何か言葉を返してくれるわけじゃないけど、それは先生なりの優しさで。
先生の作り出すこの空気は、何でも1人で抱え込みがちなあたしを素直な自分に変えてくれる。
不思議なことに
自然とあたしの口からついて出てくる心の声。
…きっと、あたしのお父さんと同じ年で…自然と聞き役に回るところだったり、声のトーンだったり…共通点がたくさんあるから、父親を重ねて見てるのかもしれない。
だから何でも吐き出せるのかなーー。
普通は沈黙だと不安になったり、居心地悪くなったりするけど、不思議と今の沈黙はキライじゃない。
…すごく居心地いい。
もしも……
お父さんが今も生きていたら…こうやって色々相談できたのかなーー…
「そういえば……」
「え?」
突然沈黙を破った先生に少し驚いた。
だって今までは、あたしが先に口を開くまで絶対に先生から口を開くことなんてなかったから。
「悠河くんから聞いたけど、ここのところずっと体調がよくないらしいね?」
「……はい」
「何か心当たり…あるんじゃないの?」