旦那様は社長 *②巻*


「最近、オレが誘ってもお前は拒否するし。……なんでだ?やりすぎか?って、かなり悩んでたんだぞ、オレ」


確かに、やりすぎなのは……否めない。


社長があたしを求めるのは“限度”を軽く超えている。


「あたしだって……悩んだよ?悠河はあたしのカラダにしか興味ないんじゃないかって。確かにあたし、有栖川家の人間として表舞台に立つことが増えて、精神的にも参ってた。でも悠河はそんなことお構いなしにいつもあたしを求めて……。だんだん分からなくなってた。“愛してる”って、こういうことだっけ……ってね?」


社長が素直な気持ちをぶつけてくれてる今しか、本音で話せるチャンスはない。


だから……


あたしも心の中のモヤモヤした気持ちを全て吐き出した。


「悠河は……愛してる?今でも……」


ただ真っ直ぐ……社長だけを見つめて。


「あ、当たり前だろ?オレの気持ちはこれからもずっと変わらねーよ。……なんだ、伝わってなかったのかよ……」


最後の方はボソボソと呟きながら、右手で自分の顔を覆い、小さなため息をはく社長。


「カラダだけなんて……そんなことあるわけねーだろーが」


“なんで分かんねんだよ……”


そう言われているような気分になって、少しムカついたあたしはーー…


「愛してるって言って」


ーー反撃に出た。


「はあ!?」


カラダを繋げるだけで、“愛してる”なんて気持ちが簡単に伝わると思ったら大間違いだよ?


「相手の気持ちも考えずに、一方的にカラダを繋ぐことで伝わる気持ちなんて……あるわけないでしょう?!」


「……分かるだろ?普通は」


社長は眉間に少ししわを寄せながら、納得仕切っていない顔をこちらに向けた。


「分かんないから。一方的に求められる行為なんて、苦痛なだけ!!」


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