旦那様は社長 *②巻*
「ありがと、悠河。……あたし嬉しい。悠河があたしのこと……ちゃんと考えてくれてるのが嬉しい」
以前、会長に有栖川家のしきたりの話を聞いてからずっと、あたしが余計なプレッシャーを感じていることに社長は気づいてたんだーーー……
もしかしたら、社長自身がそのことを負い目に感じたりしていたのかもしれない。
……だとしたら、“あたし1人がこんなに悩んでるーー…”って思っていたあたしは、なんて愚かなんだろう。
「オレはいつだってお前のことしか考えてねぇよ……お前のためならオレ、なんだってやる」
そうして社長は一旦あたしの体を離し、愛おしそうにあたしを見つめながら続ける。
「オレと結婚したこと、後悔させたくねぇから……」
社長の不安があたしにまで伝染してきて。
あたしの頬を優しく包み込む社長の手を、そっと握り返した。
「しないよ、後悔なんて。だってあたし今……幸せだもん。すっごい幸せ!!」
社長がいて、赤ちゃんがいて……これで本当の家族になれるような気がするからーー…
「あたし、助けてほしくなったり辛くなった時にはちゃんと言うから。だから……しばらくはあたしの好きなようにさせて?」
……お願い。
あたしたちは、しばらくお互いに見つめ合った。
社長の表情から、何を思っているのか予想はつく。