鳥居の向こうで運命変えます
これは偶然?


こんなことってあるの?



動揺を隠せないまま視線を彷徨わせる。青年はそれを知ってか知らずか、制服のポケットからメモ用紙を取り出した。


「ーー本気で。本気で運命を変えたいなら、この神社へ行ってみなよ」



渡されたメモ用紙には神社までの行き方が丁寧に書かれている。



始めからこうなることを予想してた……?




しかし青年は何事もなかったように、仕事モードの口調に戻る。



「ご注文は何にしますか?」


「じゃあ……レモンティーをホットで」


「かしこまりました」



いつもなら甘いものも一緒に頼むところを、今日はそんなことすら頭になかった。



戸惑いつつも、受け取ったメモ用紙をかばんの中にしまう。



結局、運ばれてきたレモンティーの味はよくわからなかった。


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