映セ身

　
「なお、この女性の死因は事故死と断定された」

私は記事の最後を締め括る一文に不自然さを感じた。


遺体に関する情報も死因も全く記載されていないのに、なぜ事故死？

「これも『あの事件』に関係あるんじゃ…」


怖くなった私はパソコンを切り、しばらくデスクに顔を突っ伏した。


どうする？
どうする？
どうする？
どうする？

何かの前触れ？
私も巻き込まれるのでは？
いや、もう既に…

関わっちゃいけない。
関わっちゃいけない。
関わっちゃいけない。


「くっそ！
ダメ、ダメ！」

モヤモヤと霞掛かった頭を上げてブンブンと左右に振った私はパソコンから離れ、おもむろに部屋の隅にある姿見の前へと向かった。


姿見に私が映る。
いつもの私。

鏡面に映る私の顔は、まるで『事件』のことなど歯牙にも掛けていないように平静を保っている。

（よし！
大丈夫だね、私！）

両の頬を平手でペチペチ叩いて気合いを入れた。