俺様執事に全てを奪われて
モテる男はつらいよ
『格好良いですね』
『モデルさんですか?』
『少しお茶しませんか?』
『携帯のアドレス、教えてくださーい』

女たちの黄色い声が聞こえてくる

海に浸かったまま、わたしは女たちの集団を眺めた

「おい、愛子
わたしの頼みを聞け」

「言いたいことはわかるよ…
わかる、けど…私は無理っ!
あの輪の中に入って…私の旦那に何をしているのよって言える勇気はないからね」

愛子が浮き輪を持ったまま首を横に振る

「お前は妻だろ」

「妻だろうが、彼女だろうが…
あのお姉様がたの中には入れないよ
ナイスバディだし…顔も綺麗だし…無理」

「だよな」

わたしと愛子が同時に肩を落とした

海に来て5分後から

有栖川と元は、女性に囲まれている

最初は数人の女性たちから、ナンパされ…それからだんだん人数が増えて

女性たちに囲まれて

今では有栖川も元も

姿が見えない

女性の後ろ姿に阻まれて、すっかり埋もれている
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