俺様執事に全てを奪われて
はっと顔をあげると、目の前に元が膝をついてわたしの頭を撫でてきた

「なに?
嫉妬したの?」

「いや…ちがっ」

「んで、他の男にナンパされたと?」

「あれは、勝手に寄ってきたっていうか…
金を持ってないのに気がついて、海に戻ろうとしたら
声をかけてきたっていうか…」

「で?
そのまま奢ってもらおうと?」

「するわけないだろ!」

「どうだかな」

なんで

疑われるんだよ

ああ、なんでここに愛子がいないんだ

いたら、きっと有栖川もいて…癒しの笑みできっとこの場を解決してくれるんだろうに

わたしは手に持っているココアを元に奪われた

元は棚の上にココアを置くと、わたしをベッドに押し倒す

「お…い
バーベキューが…」

「なら、正直に言えよ」

「はあ?」

「嫉妬…したんだろ?」

「してねえよ」

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