俺様執事に全てを奪われて
2学期になって後輩を知る
「愛子、同じ学校だったとは知らなかったぞ!」

わたしは一年の教室に行くと、愛子に抱きついた

教室内に、わっとどよめきが走った

『椎名様が抱きついているよ?』
『椎名様ってレズ?』

は…、わたしは椎名様と呼ばれていたのか…

なんでだ?

放課後の教室内には、まだまだ生徒がたくさん残っている

始業式で、愛子を見た時は驚いた

「今日から…編入しただけ…」

愛子が苦笑しながら、わたしから離れた

「愛子、知りあい?」

愛子の隣に立っている男が、わたしを見下ろしてきた

「ん? お前は、藤城竜之介か?
名前だけ、知っているぞ
んで、君が小山内莉子だな
君も名前だけ知ってる」

2年でも噂の的だ

二人は付き合っているのだろう?

生徒会の役員で、次期会長候補だ

「この人は…」

愛子が説明しようとする

いや、自分の名前くらい、自分で言うぞ

「わたしは椎名乙葉だ」

「いや…僕も名前だけは知ってます
綺麗な先輩だって噂されてますし」

藤城が微笑んだ

「綺麗か? 初めて言われたぞ」

わたしは愛子に視線を戻した


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