俺様執事に全てを奪われて
「ちょっと!」

「はい?」

わたしは受付のテーブルを叩いた

反応が薄くてつまらないよっ

少しくらいイラってしようよお!

「わたしの話を聞いているの?」

「ええ、有栖川とお見合いして良かったですね」

はあ…

きっと聖一郎を信頼してるんだろうなあ

どうしたら相手を信頼できるんだ?

こいつなら平気だ…って思える?

わたしはいつも不安で仕方がない

どうしたら堂々としていられるんだ?

「ねえっ!」

「だから、何ですか?
ゆっくり考え事をさせてくださいよ
竜ちゃんとのことで頭がいっぱいなんですから!
余計なことを吹きこまないでくださいませんか?
忘れちゃうんですから、私…違うことを考えると」

は?

わたしは口を開けたまま、動きが停止する

…って、聖一郎を信用しているんじゃないか?

聖一郎から話を聞いて、わたしの言葉を適当にあしらっているんじゃないのか?

違うのか?

「は?」

余計なことを吹きこまないで…って?

見合い相手の言葉は、余計なことか?

こいつ…面白いやつかも?

「乙葉…お前の負けだ
大人しく座ってろ」

わたしは元に掴まれると、ソファに引き摺られた
< 74 / 224 >

この作品をシェア

pagetop