俺様執事に全てを奪われて
「んああ?」

地を這うような底から、元の不機嫌な声がした

ぎりっと歯ぎしりの音がする

「なんだよ」

「『なんだよ』…だとぉ?
馬鹿を馬鹿と言って何が悪い?」

「はあ?
だから馬鹿じゃないって言っただろ」

元が、路肩に車を止めると、ぎろりとわたしを睨んだ

「お前は俺を好きなんだよな?」

「あ…うん、まあ」

そんな直球で聞いてくるなよ…

恥ずかしいだろうが

「俺には、乙葉が俺を好きなようには感じられない」

は?

なんだよ、それ

意味がわからない

わたしは好きだと言っただろ

なのに、何、疑ってるんだよ
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