俺様執事に全てを奪われて
「邪魔をする」

そう言って、わたしは有栖川のマンションにあがった

むすっとして、口の端を下に曲げる

苛々する

むかむかする

元の声が耳から離れない

耳を塞いで、聞こえなくしたい

でも実際に聞こえる声じゃない

わたしの心に刻まれた元の声が、聞こえるだけだ

耳を塞いでも何の解決にもならないんだ

「好きな人と何かあった?」

愛子がご飯を頬張りながら、質問をする

「なんでわかるんだ」

「だって顔に書いてあるもん」

「そうか」

愛子がこくんと頷いた

わたしは、はああっと深いため息をつくとテーブルに肘をついた

「振られた」

「え? なんで?」

愛子が驚いた声をあげる

「知らん」

あれも振られたという部類に入るのだろうな

きっと……

わたしは好きな人に2度も振られたことになる
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