俺様執事に全てを奪われて
「ありがとう
一緒に怒ってもらって、嬉しいよ
でも元はそういうヤツだ
さて、と
わたしは帰る」

「え? 泊っていんだよ?
それに明日、迎えに来るって…言ってたし」

そうか

迎えに来る気持はあったのか

さすが子守 兼 執事だな

だが、元と二人きりというのは、しばらくはしたくないな

「いや、いいんだ
帰らないと、元が父に怒られる
予定外の行動をしたら、元の責任になるからな」

わたしは愛子に心配をかけないようにと、笑顔を見せた

だが、愛子は心配そうにわたしを見ている

「今、父は海外にいる
いつも夜10時になると電話がかかってくる
私が家にいるかどうか
確認の、な
今から帰れば、10時に間に合う
ありがとう、愛子
新しい男探しには、協力してくれるのだろ?
楽しみにしているよ」

わたしはベッドから出ると、愛子の肩に手を置いた

今度は、大人で優しいヤツにしよう

…というか、わたしの言いなりになるよう男を探そう

わたしと愛子が廊下に出ると、車のキーを持っている有栖川が立っていた

「送っていきますよ」

「いや…いい
一人で帰れる」

「そうはいきませんよ
そんな肌の露出した服を着て、夜の街を歩いた日には…襲われます
元さんの子を妊娠しているかもしれないんですから
身体を大事にしてください」

「そう簡単に妊娠するかよ」

「しますよ」

有栖川がにっこりと笑った

簡単に妊娠したら、困るのは元だろ?

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