クール王子
すると
ガチャ…
こんな早くに戻って来るはずのないレジスが部屋に戻ってきたのだ。
「え?レジス…?」
レジスはセシルが何を言いたいのか解った風に答えた。
「今日は早く終わったんだ。仕事、」
仕事……その言葉を聞いてドクンと胸がなる。
「側室の話…は……?」
口にしてからハッとした。
我慢の限界がきていたのだ。
セシルがハッとしたのと同時にレジスも驚いた用にセシルを見る。
「…知っていたのか?」
「………ッ」
その言葉の意味を表すのはあの噂は本当だったって事。
やっぱり聞かなきゃよかった…
そう後悔しても後の祭り。
「セシル?」
俯き黙っているセシルを心配してかレジスがゆっくりセシルに近付く。
しかし…
ドンッッ
「ぅわっ!!」
セシルはそんなレジスを突き飛ばすと一目散に部屋を飛び出した。
「はっ?!ちょっ!…セシル?!!」
後ろでレジスの焦る声がしたが
セシルは聞こえない振りをして走る。
走って
走って
走って……
気付いた時には城を出て町まできていた。
頬には大粒の涙が伝っていて
その涙が太陽に照らされて眩しいぐらいに光る。
町人はそんなセシルを見て何事かと見つめる。
衣服からして貴族だと伺えるセシル。