クール王子
「ごめ…なさ…ッ」
止まったはずの涙が再び溢れだす。
それを見たレジスはため息をつくと、セシルの肩に顔を埋めて話し出した。
「側室の事は…だな、」
『側室』その言葉を聞いてセシルはビクリとした。
何を話されるのか
何て言われるのか
考えると耳を塞ぎたくなるが、その衝動を抑えて
セシルは静かにレジスが発す次の言葉を待った。
「もう…6年だろ?俺達が婚約して。
なのに……未だ子ができない…。
父上はそれを気にして俺に側室を勧めたんだ。」
子……?
そう、6年。
この国では6年もたてば王と王妃の間には子が授かり、王座継承者が決まる年月なのだ。
それが普通…。
いや、暗黙の了解といったところか…
だがセシルの国にはそんな話や決まりはない。
すぐ隣の国でまで国の文化の違いが発するとは…。
セシルは驚き未だ肩に顔を埋めるレジスを見た。