神-ジン-完全版
1995年1月17日、阪神淡路大震災が起きたあの日…。
彼女を助けようとして致命傷を負った友人がたらい回しにされ
最後にたどり着いた病院で、命を落とした。
オレにとって大切な人だった。
人を助ける場所で、しかも治療もなにも受けられずに命を落とすなんて有り得ないと思った。
震災で怪我をした人々が押し寄せてくるのは仕方ないと思う。
けれど、意識を失っていても彼はちゃんと呼吸をしていた。
骨を折ったくらいの患者を優先して、彼はほったらかしで。
揚げ句の果て、命を落とした。
命の灯り火が消えてしまった彼は霊安室にも入れてもらえずに
タンカーに乗せられて、白いシーツを被せられるだけだった。
病院という場所は、いざという時になにもしてくれないのだと
心の底から、怨んだ。
そんな事があったから、病院は大っ嫌いで仕方なかったのだ。