白球を打つ音
再会?

「男みたい。」

慣れてる そんなの。
 斜めにながした前髪。高校生だけどショートヘア。

スカートをまくりあげて

腕まくりをしてあぐらをかいて

「でさー 俺もさそわれてさ~」

こんなしゃべりかた


そりゃ

男っていわれても

しょーがないよね。


だって 実際 男としゃべってるほうが
楽しいもん。

勉強は 捨ててる。
運動神経は 抜群。

部活は 陸上部。

でも そんな あたしにも
女の子の心友がいるんだ


「美亜~~~ッ」

あたしの名前を呼んで

走ってきたのは 心友の優

「 野球部に超カッコいい先輩がいるんだって。」

「え~ そんなの俺がホントにかっこいいって言うヤツなんかいねーよ」

「もうー今回のはほんとかっこいいの」


「優ちゃん、もしかして 早川航汰先輩?」
よこから龍一が優にはなしかける。

優はギャルいけど すっごくいい仔で モテる。

残念ながら あたしは男っぽいんで

女の子にモテたりする。

「そうそう さすが龍一君っ」

龍一は 優のほめられると
かなり照れてる。

かわいいヤツめ。

あたしはそんなことを考えているうちに
3年生の教室に来ていた。

あれあれ

あたしは優の指さす方向をみた。



なっ なにこのかっこよさ…



丸刈りの頭にそりこみの眉毛。

長いまつげに 少しつった目。

きれいな鼻

ちっちゃい顔。

男ながらにドキドキするぜ

ってあたしは女だっつーの

でもなんか 見たことあるような…

「なあ、あの人名前なんての?」

「あれ、聞いてなかったの? 早川航汰先輩だよ」
 


は…やかわ こう…た?







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