愛と青春と追憶の みどる。

そんな、

わたしの合格報告を聞いて、

お母様は、

とても、喜んでくれました。




「あら、よかったわねー」

「この前もねー」

「ナマズちゃんがー」

「あなたのことをー」

「話していたのよー」
　
「あいつなら」

「絶対受かるに」

「決まってるよ！！！！って」
　
「そう言ってましたのよーー」

「おほほほほーーーー」


と、

お母様は、生活感ゼロ、

現実社会のスピードには、

全く着いていけないほどの、

超スローペースの声で、

そう、のんびりと、お上品に、

明るく、話してくれました。




この、

「あいつなら」

「絶対受かるに」

「決まってるよ！！！！」

の、ところは、

確信をもった感じというか、

当たり前じゃないか、

という感じというか、

ナマズ先生の雰囲気を出すべく、

ナマズ先生の物まねをしてくれて、

実感をこめて、

役者風に、演技をして、

わたしに、伝えてくれているのが、

私のこころのどてっぱらの底に、

よく伝わってきました。



その実感の込めようは、

まるで舞台女優のようでした。





「あいつなら」

「絶対受かるに」

「決まってるよ！！！！」





わたしは、

この、孤独なる、

悲しき、戦いというものは、

実は、

今日の、この、

たった一言のためだけにあったのかと、

少しだけ、思いました。
　　




公衆電話の受話器を置いて、

わたしは思いました。



　
「何をしようかな。」