モラルハラスメントー 愛が生んだ悲劇
〔 言いたいことを言って逃げるスタンスですか。
他の男の所へでも行くんですか?
結婚したというのに、最悪な馬鹿女ですね。 〕
マンションの近所の路地に、座る所を見つけて裕子は腰を降ろした。
携帯には直哉からの罵倒の電話とメールの着信が引っ切りなしで途切れることがない。
裕子はコンビニで買った温かい缶コーヒーを飲みながら、ため息をついた。
(付き合っていた時はこんな人じゃなかったのに・・・
お酒のせい? でもそれだけじゃないような気がする・・・)
〔裕子、ごめんね。 僕がヤキモチを妬いたのです。
それで、お酒を飲み過ぎてしまったようです。
もう、飲まないようにします。
寒いから、早く帰っておいで。
心配しています。 〕
14件目のメールで初めて謝罪があったのを見て、裕子は部屋に戻ることにした。
玄関を開けると、出会った頃と同じ、優しい直哉が待っていた。