sakura-君と出逢えて-
放課後。
わたしは渋々、岡田のいる化学準備室に向かう。
薬品臭い化学室は苦手な部屋。
ついでに化学も岡田も苦手。
でも、進級できないのは困るからわたしは準備室に足を踏み入れた。
予想外にもコーヒーのいい匂いが部屋中に立ち込めていた。
「お、来たか。そこに座っていいぞ」
白衣姿の岡田が笑う。
授業以外は白衣を着てないと思ったけど、着てるんだ……。
「戸川はコーヒー飲めるか?」
「あ、はい。お砂糖とミルクがあれば……」
「ん」
どうやら岡田はわたしにコーヒーを淹れてくれるらしい。