sakura-君と出逢えて-
わたしにいろんな話をしてくれたお母さん。
学生時代の話以外は包み隠さず何でも話してくれた。
実はわたしのお父さんは本当はどこにいるのか分からなくて……
今のお父さんは義理のお父さんだ。
そんな大切なことも子供の頃からちゃんと教えてくれた。
でも、学生時代の話は一切、しなかった。
わたしも触れちゃいけない部分だと思って、深くは聞かなかったし……。
こんな辛い思い出がお母さんの口を閉ざした理由だったんだと思う。
「……ゆずには? ゆずには伝えたほうがいい? わたしはお母さんの娘でお母さんは元気だって……」
「そうだな……ゆずには……言ってやったほうがいいかもな。あいつの目的がそれならさ……」
「うん……明日はゆずに会えるかなぁ……」
わたしが窓の外を見ると、厚い雲は消え、オレンジ色の光が差し込んでいた。