とある青年の復讐劇
「……………何の真似だ」



思っていたよりもドスの効いた低い声が出る。酔いが覚める。




「……何の真似か?決まってんだろ。バッカじゃねぇ??まだ気付かない?…あぁ、忘れたくて忘れたのか」




………あぁ、この顔は。


紅蓮にどこか似ているこの顔は。


…そしてこの声は。




『…お前を殺そうと思って』



ピントが、合う。



糸が繋がっていく。




『…俺の好きだったコも、死んじまったよ』



政府の人間が、紅蓮だったとしたら。



廃墟に来る前のことを、紅蓮は多く語らなかった。



「……何の用だ、お前」



「……俺があれから何をしてきたかわかる?大体3年近くの時間を、何に費やしてきたか」



「……知りたくもないな」



「……残念。是非教えてあげたかった」



銃口が、上を向く。



「……じゃあね、荊徒紫苑」







乾いた銃声が、路地にこだまする。
< 38 / 59 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop