とある青年の復讐劇
そして、当時の俺にはもうひとり、支えが居て。



偏見の中で、彼女だけは真っ直ぐに《桐堤梓》を見てくれて。



『梓は梓でしょ』



谷崎遥。



俺の好きだった、少女。



特別可愛かった訳でも無いし、美人なんかじゃなかった。



だけど、真っ直ぐに自分を見てくれた彼女を、俺は好きになった。



『お兄さんなんか関係ないわ。あたしは梓が梓でいてくれれば、それでいい』




…だけど。




彼女の父親は政府に対してテロを計画し、


母親は政府の要人を殺した。



…時期が悪かった。


当時の政府は崩壊寸前であり、刃向かう人間は悉く排除してきた。


だから。


政府の刃の矛先は、彼女に向いた。
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