カップラーメンと君と俺
スーパーの女はそんな俺の様子に気づいたのか気づかないのか、一瞬口をつぐんだ。

そして、

「栄養……考えてる?スポーツ選手はバランスも考えて食べないと…。身体作りは食生活からって。」

眉根を寄せて、スーパーの女は言った。

俺はこくりとうなずく。

スーパーの女はじっと考えこみ、そして、俺を見上げて、

「お弁当……作ってもいい?」

と言った。

俺は意味を理解することが出来ず、きょとんとした。彼女の顔は真っ赤で、眼鏡越しの瞳が、潤んでいた。俺の脳みそはしびれたように活動を停止……ただ、先ほどからの反復運動の結果、俺の身体は、勝手にうなずいていた。


途端にスーパーの女はにっこり笑った。

「よかった!じゃあ…」

と、スーパーの女が何か言いかけたとき、またもやどこかからおばちゃんが現れた!!


「ちょっと~このチラシのスープはどこにあるの?」

「え!あの…その…」

「急いでるの!」

「あの…こちらです…」



スーパーの女は俺のことを気にしつつ、おばちゃんに引っ張られていってしまった。


俺はしばらくその辺をぶらぶらして待ってみたが、彼女は戻ってこなかった。


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