愛ノアイサツ
次々と運ばれてくる酒にみんなのテンションも上がり、2時間もすると立派な酔っ払いが出来上がっていた。

「城田さ~ん、ちゃんと飲んでますか?」

「飲んでるよ。野木くんは飲みすぎ。」

僕がビール、野木くんは焼酎を飲んでいた。意外に渋い酒飲むんだな。

「城田さん酒強いんっすね。全然来たときと変わってないし。」

「酒には強いほうなんだ。野木くんだって明日も仕事なんだからあんまり無茶するなよ?」

「分かってますって。あれ?そのペンダント・・・」

野木くんが赤い顔で僕の首を指差した。

「それって、ロベルの新作じゃないっすか!さすが城田さん、着けるものもレベル高いっすね。」

「これ?もらい物なんだけど。」

僕は誕生日の日に雪乃からもらったペンダントを身に着けていた。それがブランド物だってことは知ってたけど、残念ながらそういったことには興味がなかったし、雪乃からもらった物の相場なんて知ろうとも思わなかった。僕にとっての価値は雪乃が僕にくれたってところだ。

「すごいっすね!ロベルって数も少なくてなかなか店にも出ないし。その型は今年出た新作でしょ?俺怖くて触れもしないですよ。」

おどけた仕草でそう言う野木くんの横で、僕はあのときの雪乃の言葉を思い出していた。確か雪乃のお父さんの会社のものだって言っていた。ということは、雪乃はそれなりの家庭の子なのかもしれない。

「おい、野木!そろそろ次行こうぜ!」

遠くで呼ばれた声に野木くんが返事をして、二次会に誘われた。でも僕はそれを断り適当に挨拶をして居酒屋を後にした。

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