続きは、社長室で。2
立川さんは表向きは自己都合退職で古巣に戻ったと、拓海に聞いていたけれど…。
その一件は互いの利潤の為に、闇に葬られるようにして消去させたからこそ。
すべての裏事情を知るのは社内でもきっと、私と桜井さんなのだけだろう。
他の秘書が代わりに同行出来ないというのが、何よりの証拠だもの。
それに専務や常務は、若くして社長に就任した拓海を、唯一快く思ってイナイ…――
「…っ、ご心配ありがとうございます。
秘書として傍にいる以上、越えなきゃいけない壁ですから…。
非力ですが、私なりに努めさせて頂きます」
一礼をしつつ伝えると、桜井さんの顔を見上げるように上体を起こした。
桜井さんが執行役員の一員でありながら、部長職に留まっている理由は。
彼を弊害から守って動き易いようにと考えた、拓海の配慮に思えるからこそ。
そんな2人の功績を潰すようなコトを、もう二度と私がしてはダメだ…。
「…そう言って貰えて、助かったよ。
ありがとう…」
それまでずっと固い表情だった彼が、ようやくフッと笑った。
「とんでもありません!
私の方こそ、いつもありがとうございます」
「ハハッ、本当に律儀だな」
「えっ、すみません…」
頭を振ってつられて笑えば、少しだけ恐怖心が消えていく気がした…。