続きは、社長室で。2
“俺の傍を離れるな”
もの凄く嬉しかったけれど、貴方らしくナイ言葉だったよね?
そう口に出して約束を取りつけるほど、心配してくれていたのに。
“今日から秘書はしなくて良い”
この指示にも勝手にショックを受けて、独りで悲しんでいただけで。
私は大切なモノを取り上げられた、ダダを捏ねる子供と一緒だったね…。
貴方と歩む未来は、想像以上に険しいコトを解っていなかった――
静まり返った役員室フロアを歩いて行き、エレベーターへと乗り込んだ。
パタンと静かに閉まった密室空間は、虚しさをいっそう漂わせていた。
無音の空間は、嫌でも拓海の言葉をリフレインさせる・・・
“裏では桜木が仕事をしていた”
「っ・・・」
確かに秘書検定2級所持というだけで、まったくの新人だった。
私たちが認めて貰う為には、これしか方法が無かったとも解ってる。
それでも…、どうしてもショックが抜け切れないよ…。
拓海に抱かれるコトだけが、私の仕事だったの・・・?