お姫様と7人の王子様
クリスマス(王子)



ミスルトーの木の前で





クリスマスの夜、パーティの中で君を探す。
探す事数分、珍しい所にいる君を見つけた。


「メリークリスマス」


そういってから"ミスルトーの前にいる君"の元へと向かう。


「メリークリスマス」


そう笑顔でいう君の頬に、挨拶代わりにそっと僕の唇で触れた。
その途端、赤く染まる君の頬……。


そして僕の目を見ないようにうつむく君の顔。


そんな君を見ていたら胸の中が締め付けられるようなわけの分からない感覚が生まれた。



ただ昔読んだ"実のなっているミスルトーの木の前では誰とでもキスしていい"って話の通りに君にキスしただけなのに……。


"良い事"と"悪い事"を自分で分ける事が出来ないからどうしても本の知識をそのまま鵜呑みにする事しか出来ない。

だから…――今したことがどういう意味かわからない。



まわりの――普通の人たちに溶け込むために作った偽りの僕が正解だと思ってしたこと…――なのに……こんな変なものが生まれるとは思っていなかった。


不意にあらわれた何かについて考えていると。


「また変な話を鵜呑みにしたんだ……」


そうはみかみながら言う君……そんな君を見ていると、また変なものが生まれる。


君と時間を供にするたびうまれる変なもの……
この意味を知るまで君といたい…。
そして……いつかこのもやもやをちゃんと君に伝えたい。
だから……

それまで待っていてくれないか。





END
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