【連作】そらにかなでし〜平安朝禁断恋草紙④〜
「君。なぜ、そのように嘆くのか、私にはわからない。君は、願えば、いつでも、慕う姫のそばに行くことができるというのに……」

一の君がこうおっしゃって、二の君の童髪を優しくそのお指でお梳きになる様は、かつて、姉姫が一の君になさったのとよく似ていらっしゃるようで、二の君は、胸の痛むのを、理由もわからぬままに、お感じになるのでした。

(……私は、兄上をこそ、羨ましゅう思いますのに……)
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