【連作】そらにかなでし〜平安朝禁断恋草紙④〜
それを聞くにつけても、若君方の、そのお年にあわぬ大人めいた物腰が、生まれつきのものと思われて、やはり、高貴な方はお生まれからして違うものよ、と、思うのは、随身の者共のなかにあって、朝露(あさつゆ)と呼ばれる若者にございます。

まだ、この時は、一の君にお仕えいたした、そのはじめの頃にございましたので、先からの供のものが、君からの信もあつくているのが、羨ましくも、妬ましくも思えて、それでも、かの君とは一番に年も近くて、

(いずれは、我も)

と、かの君のお乗りになりますお車を、眩しく見上げているのでございました。
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