【連作】そらにかなでし〜平安朝禁断恋草紙④〜
そこで、先方にも気兼ねなき者を、と、一の君は、供回りの者から朝露をお召し出しなされて、

「お前、此方へ、文使いを頼まれておくれね」

と、差し出されるのは、漆に藤の香る文箱にございます。

濃緑の紐で封じられたそれを、一の君は、朝露にお渡しになるのでした。
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