夢の、現実
「そうなんですか…。しかし依頼となりますと、鍵が必要ですが」

仕事ですのでと、困ったように深海さんは微笑んだ。

鍵といえば…

「私、鍵持ってますっ!これで大丈夫ですか…?」

事務所に入る前に、嶺から渡された赤い鍵を取り出す。

遥から鍵を受け取り、深海は入念に調べ始めた。



「…どうやら本物の赤い鍵のようです。しかし、対である青の鍵は一体どこへ…?」

“本物”の赤い鍵とはどんな意味だろう。

それがなければ意味がないと申し訳なさそうに答えた。

「…それなら僕が持ってる」

「でも、いいの?」

せっかく貰った鍵なのに、申し訳なかった。

「いいんだ、それに…」

嶺はそっと視線を足元に移した。
つられて見ると、いつの間にか嶺の靴がなくなっている。

な?という風に苦笑いする嶺と一緒になって笑った。

では…と深海が軽く咳をする。

「その二つの鍵を持ち、この奥のドアを開け進んでください。その先に靴はあるでしょう」

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