夢の、現実

鍵と靴と、探偵と

カランコロン

探偵事務所のドアを開けると、懐かしいベルの音が鳴った。

ベルだなんて、今時珍しいな…。


冷静に周りを見ると、見渡す限り箱、箱、箱…。
真ん中に赤いソファーと、受付のような机がある以外は箱しかない。

「…いらっしゃい」

奥のドアから現れたのは、艶やかな長い髪に真っ白な肌、涼しげな目、そして着物を纏った女の人だった。

この人、すっごく美人!

「ここが、無くした靴を見つけ出してくれるところだと聞いたのですが。」

嶺が、冷静に尋ねる。
見惚れて声もだせない私に、助け船を出してくれた事に感謝した。

「ええ、私が靴探偵の深海ですが何か御用ですか?」

彼女はそう言うと静かに微笑んだのだった。

私達は深海さんに靴がなくなる経緯の全てを話した。

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