今日から執事
「あら、早稀ちゃんじゃない」
「峰子さん。お久しぶりです」
先程から、早稀はこの様に挨拶を交わしている。
早稀から組まれた腕は離れる兆しがなく、周りは組まれた腕を見る度に
「仲がいいことね」
と感嘆の声を漏らす。
真斗はいつもより身近に早稀を感じているせいか、顔の熱は一向に落ち着かない。
それでも、照れている素振りだけは見せまいと必死にそれを隠す。
だが、それさえも早稀はお見通しのようで、執拗に腕を押し付けてくる始末である。
半ば、どうすることも出来ないと諦めかけた時、スルリと早稀の腕が解けた。