Sin
「誰かに話したら殺すからな」

シーツに包まり怯えているシンを、男は脅しつけた。

「最初から素直に言うことを聞けば痛い思いをしなくてすむのに」

首筋に火傷。切れた唇から血。暴れた時に出来た沢山の擦り傷と殴られた痣。

男が部屋を出ていくと同時にシンは意識を失った。

嘘だ。きっと嘘だ。

母さんが俺を売ったなんて。“オモチャ”として変質者に売ったなんて……。

受けた虐待の恐怖と真実を知ったショックが大きすぎて、シンはなかなか目を覚まさなかった。

全部夢であって欲しかった。だから、目を覚ましたくなかった。




男の不注意で開いていた窓から逃げ出すまで一年半。

“オモチャ”として虐待され続けたシンは、身も心もズタズタになっていた。

死のうとする気力さえ無くし、ただ体が求めるまま食べ物を盗んだ。

人はみんな敵。誰にでも牙を向き、攻撃し、相手を傷つけ自分を守る。

何のために生きているのか分からないまま、ただ息をしている。

閉じ込めた悲しみや苦しみを解放できる存在を、心のどこかで無意識に求めながら――


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