Sin
「シン」

ジャックはシンの肩を優しく叩いて言った。

「我慢しないで、声を出して泣いたら良い」

シンは泣きながら首を横に振る。

「無理……怖い」

「怖い?」

「叩か、れる」

ジャックは言葉を失った。

「声、出して泣く、と叩かれ、る、怖い」

無理、と呟いてシンはジャックの肩に顔を埋めた。細い細い嗚咽が小さな肩を震わせる。

最低な大人達は、シンから素直に泣く力さえ奪ってしまったのか。

深い怒りが込み上げてくる。

「じゃあ、シンが楽になるまでこうしてていいかい?」

ジャックはシンをそっと抱きしめた。優しく、優しく頭を撫でる。

「……シンは本当にいい子だよ。僕はシンの事大好きだ」

ジャックの声は温かくて、なかなか涙が止まらない。シンは苦しそうに呻いた。

今まで堪えてきた分、素直に泣く事にさえ痛みを感じる。まるで涙が深い傷痕にしみるかのように。

全身に感じる心の痛みを、ジャックなら受け止めてくれる気がして。

シンは痛みに耐えながら泣き続けた。

優しく背中をさすってくれる、ジャックの大きな手がその痛みを和らげてくれた。


< 127 / 331 >

この作品をシェア

pagetop