Sin
シンの決意と円周率
《Chapter 9
  シンの決意と円周率》



「ねぇ、先生。いつになったらシン君連れて来てくれるの?」

昼休み。

ナディアはジャックの背に乗りかかって尋ねた。

あの日以来、“先生と暮らしている男の子”に興味津々な生徒達はひたすらシンに会いたがった。

「うーん、いつになるかな」

ジャックがとぼけるとナディアはぷぅと口を尖らせる。

「もう具合良くなったんでしょ?」

「先生、僕達も会いたいよ」

生徒達はジャックの周りに集まり、まだなのと口々に言う。

ジャックとしても連れて来たいのはやまやまだった。シンをいつまでも家の中に篭らせる訳にはいかない。

施設長も遊びに連れて来なさいと言ってくれた。シンが外の世界に踏み出すためのステップとして申し分ない場所だ。

しかし、ここにシンを連れて来るには多少慎重さも必要だった。


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