Sin
「まだ35のくせに老後の話なんてすんなよな。早く老けるぞ」

照れ隠しのように憎まれ口をたたくシン。

……嬉しかった。ジャックに息子同然と言ってもらえて。ずっとここに居てもいいと言ってもらえたようで。

お茶にしようか、と立ち上がるジャック。

その背中に、お父さんと叫んで抱き着きたい衝動に駆られた。そうする事を許さない虐待の記憶。

飲み込んだ涙が傷痕にしみて、シンの胸がぎゅ、と痛んだ。




日曜日は晴れだった。

青空には細長い雲がゆるゆると流れ、カーテンを揺らす風は夏の終わりを惜しむかのように幾らか熱を帯びている。

仕度を終えたシンはソファーの隅で小さくなっていた。


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