Sin
「変わった人だと思ってはいたけれど、まさかルージャの子と住んでるなんてねぇ」

魚屋の奥さんが呆れたように頭を振る。

「一見まともそうなのに、どうしちゃったんでしょうね先生」

布屋の女性店員は不思議そうに首を傾げる。

「しかも、あの万引き小僧をねぇ。ルージャの奴らにろくな人間は居ないのにさ。いつか痛い目に合うよ、きっと」

手を繋いで歩いて行く二人の後ろ姿を指でさし、人々は口々に意見を言い合う。

ただ八百屋の店主だけは何も言わなかった。時々隣を見上げるシンと微笑み返すジャックの姿を、黙って見つめていた。

――あれが、手に負えない狂犬みたいだったあの浮浪児なのか……?

『彼を追い詰めたのは私たち大人ですよ』

不意にジャックの言葉を思い出す。

『本当の万引き犯は一体誰なんでしょうね』

何やら考え込むように腕組みをした八百屋の店主は、角を曲がる二人を見送り大きな溜息をついた。


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