Sin




「ほら、あそこだ」

五分くらい歩いた所で右に曲がり、ジャックは少し先の建物を指さした。

白い壁の二階建ての建物。行った事は無いけれど見た事はある学校に似ている。

レンガで出来た塀の向こうに見える果樹に、シンはぽつりと呟いた。

「……林檎」

「ああ、そうだ。中庭に何本か林檎の木があって、熟したらみんなで収穫するんだ」

まだ少し先かな、と言ってジャックはシンを見る。

母親の事を思い出しているのだろうか。

葉の陰に隠れたまだ赤くなっていない林檎を見つめているシンは、なんだか寂しそうだった。


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