Sin




「このコインが林檎十個。こっちのコインが林檎一個」

ジャックが仕事に出かけた後、シンは木箱からコインを取り出してテーブルの上に並べた。

「不思議だなぁ。同じような銀色のコインなのに、買える林檎は十倍なんて」

確かに少し大きさは違うけど。シンは両方のコインをくるりと裏返してみる。

あれ、よく見たら彫ってある顔も違うんだ。

「なんだよこれ、普通のおっさんじゃん。ジャックの方がカッコイイのに」

シンはテーブルに頬をのせ、ジャックの顔が彫られたコインを想像してみた。

……ちょっと似合わないかも。こういうのに向いてる顔と向いてない顔があるんだな。

横一列に真っすぐ並んだコインを眺め、シンは嬉しそうに微笑む。

なんだか、嬉しい。お小遣をもらえた事がじゃなくて。

『シンが自由に使えるお金だ』
『使う前にじっくり考える事。了解?』

ジャックが、自分を大人扱いしてくれてるような気がして。

コインを見つめているシンの口元が幸せそうに緩んだ。


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