Sin
「1リアで林檎十個かぁ」

シンはコインを一枚ずつ木箱に戻しながら考えた。

最後にテーブルの上に残った1リア硬貨をじっと見つめる。

「林檎、十個」

しばらく考えこんでいたシンは突然、何か思いついたようにぱっと立ち上がった。

大きなキャスケットを被り、1リア硬貨をポケットに入れる。

自由に使っていいってジャックが言ってた。よく考えてからって。

だからよく考えて、決めた。

残りの1リアは貯めておこう。欲しい物、無いし。

家の鍵を握りしめ、扉の前で一つ大きな深呼吸をして。

「ちゃんと出来ますように」

祈るように呟き、シンは商店街へ向かった。


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