Sin
午前十時過ぎ。この時間帯、商店街は暇になる。次に暇になるのは夕食時だ。

前は暇になる時間を狙って林檎を万引きしてた。でも、今は。

シンは早足で歩く。早く、お昼前に終わらせないと。あんまり沢山の人に会いたくないし。

恐る恐る商店街に入った。暇だからだろう、店先には誰も居ない。

ほっと胸を撫で下ろし、シンは真っすぐ八百屋に向かった。

「あの、すみません」

奥に向かって声をかける。小声だったせいか誰も出てこない。

「あの、すみません!」

もう少し大きな声で呼ぶ。緊張のあまり心臓がドキドキと早く打つ。

ややあって引き戸が動き、八百屋の店主が出てきた。

いらっしゃいと言いかけた店主の笑顔が、シンと目が合うなり消えていく。

「こ、こんにちは」

シンは帽子をとって深くお辞儀をする。怪訝そうにこちらを睨む店主の目が怖くて脚ががくがくと震えた。

「あの、俺……じゃない、僕、おじさんに謝り、たくて」


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