Sin
男達はシンの言葉を聞こうとせず、細い腕を掴む。

「おい、押さえてろ」

「違う! 俺、スリじゃない! 俺はただ」

必死で無実を訴えるシンを押さえ付け、男達はシンの上着を脱がせようとした。

『可愛がってあげるから』

あの屋敷で受けた虐待と重なる光景。襲われる、と体が反応する。

「さ、触るな! 離せ!!」

暴れるシンの腹に一撃を喰らわせ、男達は服の中を探った。

ズボンのポケットから出て来た食費用の小さな財布。数枚の紙幣が入っている。

「奥さん、これですか?」

「そうです! よかった……」

安堵した母親の声。

……ひどい。母さん、ひどいよ。

シンの胸に悲しみ――いや、怒りに似た感情が込み上げてくる。

「違う! それ、ジャックのだ! 返してよ!」

シンは母親に掴みかかった。

「何するの」

「返して! それジャックの財布なんだ! ねぇ返し……」

男達に髪や服を掴まれ、引っ張られる。

「返せ!」

次の瞬間シンは背中から地面に倒れこみ、痛みと衝撃に息が止まった。


< 210 / 331 >

この作品をシェア

pagetop