Sin
ジャックの嘘つき。俺、やっぱりこの世界に要らない子だったんじゃないか。

母さんの嘘つき。俺の事好きだって、大切だって言ってたくせに、本当は死んでほしかったんじゃないか。

「は、はは……あはは、は」

シンは突然笑い出した。おかしくもないのに止まらなくなった。

狂っているのは自分か、世界か。答えは重たい灰色の雲に隠れて見えない。

「ふ、ふふ……あっははは……!!」

ずぶ濡れのまま、大粒の雨を落とす空を見上げて笑う。

癒えたはずの傷をこじ開けられ、さらに深く深くえぐられ。

真っ赤な血を流しているのは体の傷ではなく、無惨に掻き裂かれた心の傷。

もう二度と、塞がらないかもしれない。

「……っはは、あははは……!!」

痛みに耐え切れなかったシンは、壊れたようにただ笑いつづけた。


尋常ではないその笑い声は、次第にひどくなる雨音に飲み込まれ、やがて消えた。


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